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製作日誌ログ

平成31年

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2月


平成31年2月28日 「二人のお祖父様」

 先日、山田醸造の山田氏から誘われて渋谷商店の渋谷氏と共に打ち合わせ兼飲み会に。
 渋谷氏は私と同年で、お互い大人になるまで忘れていたが、幼稚園で同じクラスだったことが判明している。山田氏は我々よりもずっと若く、数年前から家業をついで一生懸命である。
 私は訳あって早い時期から味噌組合の会合に出ているので、彼らのお父上はもちろん、お祖父様にもお会いしたことがある。
 二人のお祖父様はどちらも既に他界されているが、新潟の味噌屋の間ではよく知られた、いわゆる名工と呼ばれる方々である。
 渋谷氏のお祖父様とはご挨拶程度で、ついに長話などをする機会には恵まれなかったが、「越後一みそ」の名工・池野氏に当時の渋谷さんと交わした話を聞くと、渋谷さんの味噌に対する真摯な姿勢をうかがい知ることができる。晩年も鑑評会予選会にお越しになって、はるかに年下の審査員の講評を聞くなど、そのひたむきな姿勢には脱帽である。佐渡まで泳いだとか逸話のある方で、お話を一度もしたことがないにも拘わらず、私は勝手にエネルギッシュな人物だったと妄想している。
 山田氏のお祖父様とは一度何かの懇親会で同席して、お話を伺ったことがある。若かりし私は恥ずかしげもなく「どうしたら山田さんのような美味しい味噌が作れるんですか」と尋ねたところ、山田さん(お祖父様)は「当たり前のことを当たり前に」したら良いというようなことを仰っていたのを思い出す。知的な方で、今にして思うと、味噌の乳酸発酵にこだわっておられたのではないかと想像する。味噌屋は酵母を使って味噌を発酵させるが、乳酸菌はあまり使用しない。もちろん乳酸菌はそこら中にあるので、自然と味噌の中で多少の活動はするが、それらをコントロールして味に反映するのは難しい。乳酸菌を入れて酸っぱくなっては困るし、しかし味のバランスを考えると味噌に若干の酸味が付与されていると美味なのである。そういった味のバランスを山田氏のお祖父様は考えておられたのではないかと、私は今頃思い出している。
 そんな両お祖父様方との思い出を振り返ると、今、その孫たちと一緒に飲んでるってとても感慨深いな〜と思いながらついつい酒が進んだ。そしてその結果、近年まれにみる泥酔を呈し、通りを左右にフラフラ縫いながら普段15分で行くところを40分近くかけて歩いて帰った。その後2時間は便所から出なかった。そして打ち合わせの内容は一向に覚えていなかった。


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